かつて“ものを持つこと”は豊かさの象徴でした。
ですが今は、“必要なときにアクセスできること”に価値が移りつつあります。
なぜ“持たない”選択が増えているのか
近年、私たちの消費行動は静かに変化しています。バッグや服だけでなく、家具、家電、ベビー用品、食品、書籍、さらに娯楽まで対象は広がっています。
“買って所有する”ことは必須ではなくなり、“必要なときに利用する”という考え方が浸透し始めています。
この背景には複数の変化があります。
- 都市部の居住空間の縮小
- 軽い暮らしへの志向
- モノより体験への価値移動
- 使用頻度の偏り
- 二次市場とレンタル市場の整備
- サステナ意識の高まり
- デジタルと配送インフラの発達
- 価格の最適化
所有の“重さ”に気づく人が増えている
所有には魅力がある一方で、見えないコストが伴います。
所有に伴うコスト
・保管
・メンテナンス
・修理
・購入判断
・更新判断
・廃棄や売却の手間
クローゼットの服の出番は想像以上に偏っています。調査では実際に着られている服は全体の10〜30%程度に留まることが多いとされています。
所有は“選択肢”である一方、“制約”にもなりやすいのです。
利用という選択肢
そこで注目されているのが アクセス=利用 という概念です。
必要なときに、必要な期間だけ、必要な品質のものに触れることができます。これは“借りる”“シェアする”“交換する”“定期的に受け取る”といった行動に分解できます。
具体的には、次のようなイメージです。
- 洋服は季節やTPOに合わせて入れ替え
- 家具は必要な期間だけ設置
- ベビー用品は成長に合わせて循環
- 食は日々の栄養バランスで最適化
- バッグは用途に合わせて交換
こうしたアクセスが生まれることで、使用と所有が切り離せるようになります。
“軽い消費”は暮らしを動かしやすくする
人はものを減らしたいから利用するのではありません。利用することで暮らしの動き方が変わるからです。
所有の数ではなく、アクセスできる選択肢で暮らしを組み立てる。
そうすることで、次のような変化が生まれます。
- 行動量が増える
- TPOに適応しやすくなる
- 消費判断が軽くなる
- 生活の更新速度が上がる
特に都市部では、この形は合理的な消費戦略になりつつあります。
所有と利用は対立しません
所有を否定する話ではありません。お気に入りの家具やバッグを所有し、大切に使うことは暮らしの喜びそのものです。
ただ、所有すべきものと利用すべきものの境界は曖昧になり始めています。
所有は“愛着”、利用は“利便性”という役割に分かれつつあるのが今の潮流です。
循環を前提にした市場が育っています
かつては新品を買い、使い、捨てるという直線的な消費が一般的でした。ですが今は循環型へと移行しています。
| 段階 | 行動 |
|---|---|
| 利用 | 借りる/使う/所有する |
| 移動 | 譲る/売る/預ける |
| 循環 | サブスク/レンタル/二次流通/買取/交換 |
| 再評価 | レビュー/推奨/再所有 |
この循環はとくに ファッション領域 と相性が良いとされています。
理由は、次のような点にあります。
- 使用頻度が偏る
- TPOが存在する
- 資産性を持つものが一部混ざる
- トレンドが動く
- 中古市場が成立しやすい
ファッション領域の話へ
ファッションは「所有して当然」という価値観が根強い領域でしたが、いま最も変化が起きている領域の一つでもあります。
この続きは次の記事で扱います。
WELLCARE NOTE編集部

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